98日後に復職するサラリーマン
休職していると、会社に行く不安はなくなるが、別の不安が生まれる。
それは、漠然とした将来への不安や仕事がなくなる心配など目に見えない気持ちと、復職した後に再び働き続けられるかという気持ちもある。
一度、休職した経験があるので復職後のサラリーマン生活がどれくらいきついかよくわかっている。
復職した場合、会社に行くだけでも身体的、精神的にしんどい。
電車に乗ることなく家の周りで生活してきたので、満員電車に乗るだけでもひと仕事だ。
さらに、毎日誰ともしゃべらずに過ごしていた生活から、会社に行って人とコミュニケーションをとるということも、それだけで十分仕事になる。
だから、会社に行っても仕事ができないくらい、業務遂行力が低下している。
復職した人は、まず1週間くらいは仕事をしないで、ただ会社に行くだけ。
次の1週間は、午前中だけはたらき、午後は帰る。
1か月くらいしてからやった、もとの戦力に戻れる感じだ。
それくらい復職の道は険しい。
さらに、毎日決められた時間、それも朝の早い時間から出社することも、精神的にきつく感じる。
休職期間は、特に起きる時間に制限がないうえに、体を休めるためにも朝は遅くまで寝ていることが多い。
起きれないからだ。
ひどい人は昼夜逆転してしまうこともある。
不安に押しつぶされそうになり、お酒を飲んだり、夜遅くまで好きなことをしていやな気分から逃げていると、すぐに生活が乱れる。
ぼくは特に低血圧で朝が苦手なので、復職した後の朝の出社は、言葉に表せられないストレスに感じた。
決まった時間通りに会社に行くということだけでも、きついプレッシャーを感じる。
なんとか、会社に行けたとしても、業務をこなすだけの体力が落ちていることも悩みだ。
デスクワークの仕事であっても、家で療養していた体には十分に重労働に感じる。
それは単純に休職期間に体力が落ちたということもあるが、体力を維持し続けることは簡単なことではない。
若いうちは体力も回復するのに時間はかからないかもしれないが、年を取るとなかなか体力が戻ることが難しい。
だから、ぼくは休職期間に入ったら、自分に毎日のルーチンワークを課すことにした。
朝は、会社に行ってきた時と同じ6時に起床する。
そして、朝食をきちんと取り、普段着に着替える。
朝食後は、通勤の時と同じように、朝の散歩にでる。
太陽を浴びることで、体内にセロトニンが生まれ、不安や焦燥感が減少する。
勤務時はだいたい、毎日平均9000歩くらい歩いていたので、10000歩を目指して歩いている。
雨の日は出れないので、家で軽い運動をする。
そして、家にひきもこもらないで、図書館に行って絵を描いたり本を読んだりする。
人ごみや暗騒音に慣れておくためだ。
毎日のルーチンを決めておけば、時間をもてあそんで悩んだり、復職後のつらい通勤を不安に感じることもなくなる。
ただ、やっぱり気持ちは前向きでも体が疲れて動かない時もある。
そんなときは、無理をせず、家で横になって休んでいる。
体の中からエネルギーとやる気が生まれるまで、じっと我慢している。
好きな映画を見たりゲームをしたり、食事もレトルトにして自分を甘やかすことを許している。
頑張りすぎて精神的に不安になってしまっては、休職しているのに本末転倒になってしまう。
休める気持ちの余裕があると、一人で生活していてもなんとかやっていける。